多面的なアプローチで、お客さまとの新たなつながりを創出する。

―auのコミュニケーション戦略について聞かせてください。

矢野/近年、通信の領域で各キャリアの商品・サービスが同質化している状況のなか、お客さまに選んでいただくには、auのブランド価値を向上させる取り組みが重要になっています。そのためコミュニケーション本部では、auに対するお客さまの好意度を高めるための戦略的なアプローチを多面的に行ってきたわけです。それは、デジタル起点のものもあれば、テレビ起点のもの、さらにイベントや協賛案件もあります。

塚本/私はKDDIに入ってまだ数年ですが、媒体特性に応じたコミュニケーションのポートフォリオが、この2、3年でかなり進化したな、と感じています。

矢野/テレビCMにしても、以前は情報詰め込み型でしたが、15秒では消化不良になってしまいますからね。現在の「三太郎」CMシリーズは面白く認知を得ることに特化して、商品内容はデジタルのページで見ていただこう、と。

塚本/ホームページにしても、今は作って待っているだけでは、あまり訪れていただけないので、我々のほうからお客さまとの距離を縮めていくことが必要です。そこで、従来型の情報発信だけでなく、お客さまの興味関心に寄り添い、新たな接点を作るための試みとして、「au×HAKUTO」「au未来研究所」があるわけです。

矢野/日本初の民間月面探査チームへの協賛案件「au×HAKUTO」は、宣伝部が主幹ですが、実際の情報発信はデジタルメインで展開していただいていますよね。

塚本/ええ。一方、“スマホの次”を発明する「au未来研究所」は、ガジェッターと呼ばれるような、新しいものに対する感度が高い層に、興味を持っていただけるのではないか、と。「au未来研究所」では、ものづくりをしていくプロセスなどをコンテンツにして情報発信していますが、こうしたコンテンツマーケティングのアプローチからも、お客さまとの新たなつながりを創出していきたいと思っています。

顧客ロイヤリティの向上に力を注ぎ、auをパワーブランドに。

―今後、お客さまに訴求していきたいイメージや業務上のテーマはありますか?

矢野/auが掲げている「あたらしい自由。」というスローガンは、常に新しいものを追いかけて、お客さまに新たな驚きをご提供したい、という姿勢を表したものでもありますので。これからも、HAKUTOや未来研究所のような新しい活動を絶えず展開していくことで、お客さまに「auと付き合っていくのは面白そうだ」と思い続けていただけるブランドにしたいですね。

塚本/そうした意味では、まだ課題も残されています。例えば、我々通信会社のお客さまは幅広いため、現状のコミュニケーションも十分とは言えない。市場も細分化されており、すべての方にリーチするのは困難ですが、コミュニケーションを支えるテクノロジーも日々進化していますので、新しい技術をうまく活用しながら、お客さまとのより良い関係をつくっていくことが我々の使命ですね。

矢野/新規事業である電気や保険などは、プロモーション側としても未知の領域なので、どこで、どういうメッセージを伝えていくか、アプローチの仕方も課題ですよね。

塚本/そうですね。ただ…、「電気も保険もauに」と思っていただくには、サービスを魅力的に伝えるだけでなく、auファンを増やしていくことが重要だろう、と。パワーブランドというのは、顧客のロイヤリティが非常に高いものなので、私個人としては、商品訴求以外の面からも、「auが好きで好きでたまらない」というファンづくりを目指していきたいと考えています。

人材の多様性を広げることは、組織の活性化に結びつく。

―新たな事業や戦略を推進するにあたって、どのような人材が必要になるでしょう?

塚本/個人的な意見として、これからは全社的に、今までにないアイディアや付加価値を生み出していく発想力、創造力のある人が求められてくると思います。逆に言えば、大きな舞台でチャレンジしてみたいという人には、面白いフィールドが用意できるとも思います。KDDIは事業規模が大きく、知名度もある。そして顧客基盤も持っていますから。

矢野/今、塚本さんが言ったように、現に3,700万人(2015年12月時点)のお客さまがいて、その属性を含めた顧客データとIDを基盤にアプローチができるというのは、私たちの部門にとっても大きな強みですよね。

塚本/本当に。我々は、小売を経由してものを売るメーカーなどと違って、お客さまとダイレクトにつながってビジネスをしていますし、顧客情報を把握しやすい状況でマーケティングができるというのは、大きなアドバンテージ。そうした意味で、今後はデータアナリストなどの人材も重要になってくるはずです。

矢野/また、KDDIはダイバーシティも重視しています。別の業種や企業で経験を積まれた方は、我々とは違う目線やスキルを持っておられるので、周りも刺激されるし、学ぶことが多い。外部のさまざまな方に入って来ていただいて、多様性を広げることは、組織を活性化するうえでも非常に有意義なことだと思います。